この題は、Your Lone Journey というゴフスタインの絵本の題にかけている。その絵本はあなたのひとり旅と人生を旅に喩えた絵本だ。人生が旅ならば、暮らしもまた旅なんだと思う。

旅の途上、今は森の中で暮らしている。この暮らしも、いつまで続くか分からない。でも私はどこにいても暮らしの目線に合わせた物事に触れることが楽しい。どこに行ったってカメラを片手に散歩をしたり、スーパーや産直でその土地ならではのものを見つけて料理したり、森の少し奥まで歩いて誰もいないところを見つけて嬉しくなったり。窓辺で、毎日黙々と木を彫り、鳥を観察し、空の色や雲の流れを見つめ喜びを感じている。


テレビどころか天気予報すらも見ない生活で、朝、目を開けた瞬間に見える窓の外の景色が私にとって日々のニュースだ。夜のうちに降り続いた日の朝は、木々が頭を擡げるほどにふかふかの白い雪が積もり、寒いのにどこかぬっくりと温かさを憶える。

カメラを構えながらスーパーまで吹雪の中を歩いていたら1時間もかかるような暮らし、とても不便ではあるのだけれど。その道のりはまるで襖絵のような白い世界、お気に入りの場所のひとつ。
街に行ったら何をしようか、美術館に行きたいな。美容院にも行きたい、お香がなくなってしまったのでお香やオイルを買いたいな。会えること、見れること、触れられること、嗅げること、”直接”そのことのありがたさも離れているとより大切に思える。何を為すにしても、大切に思えるという気持ちをいつも、大切にしていたい。