トルコでの初めての朝、食堂のある最上階まで、階段を上がる。ピンク色の壁に絵が掛けられた階段が可愛いなと思った。朝の眩しい光が差し込む食堂には朝食がずらりと並べられていた。光の降り注ぐ席を選び、座る。
鮮やかな皿と、まっさらな青い空、カモメの鳴き声を聴きながら。そのゆったりとした空気。滞在する人々もどこかゆったりと、朝の時間を楽しんでいた。
これが地中海料理と称されるものなのか、色鮮やかで、感動してしまう。朝から中東らしいタブレ(クスクスとは野菜のサラダ)などの幾つかのサラダ、オムレツや数種類のチーズ、黒と白のオリーブ、数種類のジャムやタヒニ、焼き菓子のようなケーキやパン、そして今の時期はみずみずしいスイカ。
朝の時間が好きな自分にとっては何よりも幸せだなと思う。朝食の時間に色々と調べ物をし、この日はカメラ片手に街を歩いてみることにした。
(左)ドンドルマ、トルコアイス屋さん 大きな音を立て、お客さんを茶化しながらアイスを売っているから、私は恥ずかしくてなかなか買えなかった。笑 (右)ショーウィンドウにはピスタチオぎっしりなトルコのお菓子が積んであった。
旧市街側を歩いてみると、ドライフルーツやナッツのお店や、ターキッシュデライト(ナルニアに出てくるもちもちとしたおやつ)やバクラバなど蜜がたっぷり染み込んだアラビックなお菓子が並んでいるお菓子屋さん、陶器やトルコランプのお店などエキゾチックな雰囲気が漂い、わくわくする。
(左)筒形の大きなターキッシュデライトをカットしていた。 (右)ドライフルーツやお茶の甘い香りがする。
中東トルコには、文化の交差する混沌とした印象を持っていたけれど、明瞭のコントラストのはっきりとした清潔で、透明な風の吹く街だった。
海峡沿い、ガラタ橋の麓に出てくると観光客の人々でいっぱい。
海のそばはサバサンドが有名なようで、美味しそうに食べている人々の横顔についつい釣られてしまい…ソフトなバケットをがさっとカットしサバとオニオンとレタスだけのシンプルなサンド、赤いピクルスと合わせ、いただきます。
お腹が満たされたので、すぐ近くにあるエジプシャンバザールに足を運んでみることに。ドライフルートやナッツや香辛料、トルコランプやコーヒーやアラブ菓子など様々なお店が並び魅力的なのだけれど、客引きも凄ければ、ものすごい混雑具合に、ぺちゃんこになりそうだった。トルコってこんなに国際観光都市だとは。
残念ながらまだまだ旅の初めなのでぐっと我慢したけれど、絵付けの陶器やターキッシュコーヒーを煮出す小さなお鍋、チャイポットなどエキゾチックなキッチン用品が並んでいて、道具好きな私には大興奮だった。多機能からは程遠い、こういった道具ってなんで惹かれちゃうんだろうなぁ….
ドンドルマ(粘りのあるトルコアイス)のお店でまだ若い小柄な少女が声を張りながらアイスを練っている姿も、とても素敵だった。
ガラタ橋の周囲はすごい人だったのでそのまま丘の上まで歩いてみる。すると外壁に囲われた大きなスレイマニエ・モスクに出会う。誘われるように中へ。あとから調べてみると世界遺産に登録されているイスタンブールを象徴するモスクのひとつだそう。1557年に建てられたモスク、何度かの修復を行われての現存のようだけれど、当時旧市街を見渡せば聳える権力の象徴だったんだろうなと感じる規模感。ドームの直径は27.5m、高さは53mもあるそう。いくつものランプが円形に吊り下げられている。
モスクを出ると、澄んだ空に沢山のカモメが羽を広げ、ゆらゆらと空を舞っていた。
その日はイスタンブールで過ごす最後の夜、ガラタ橋の麓のあるランドマークのようなイエニ・モスクへ足を伸ばす。1663年に立てられたモスク。ここは一段と華やかさでいっぱい。ピンクやグリーンの装飾の中にブラックで施されたシンボルのような文字が少し、怖い。
次第に夕日で薔薇色に染まるモスクを眺めていた。旅の開放感、知らない文化に触れ、長い長い歴史を省みること、こんなふうに生を実感する瞬間を味わうこと、忘れていた旅情を思い返した。
ピンバック:Istanbul 1 トルコの夏 – my lone journey