朝、日の出の時間に目を覚まし、テラスに出ると淡いピンク色に空が染まる。青いエルジェス山に朝日が照らしピンクに染まるグラデーションが美しい。朝は寒い。お湯を沸かしコーヒーを淹れ、毛布を持ってきて日が昇るのを眺める。羊がベルを鳴らす音や、鳥の鳴き声が賑やかに響く。遠くの空には、小さいけれど気球も見える。今日も、カッパドキアの朝は可愛い。
カッパドキア・オルタヒサルで過ごした一日。その日は何もせず、のんびりとスーパーでお買い物をして、見晴らしのいいテラス席で作業をして過ごそうと決めていた。ので、少しだけ周囲を散歩することに。巌窟群に囲まれたギョレメの、圧倒的異世界感とはまた異なる。小さな村だけれど、オリーブの揺れる銀色の葉が揺れる道、白い石畳の道を歩くと、異国情緒に心が満たれる。カッパドキア最古のホテルがある地域で、重厚感のある素敵なデザインの佇まいは、ギョレメ中心地のホテルの雰囲気とはまた異なり、惹かれる。
(L)オルタヒサルの小さなアーケード (R)あらゆるタイルの装飾に目が
(L)葡萄の蔦文様が至る所に
(L)これを誰かが手で掘り上げたのかと思うと…ずっと見ていられる
オルタヒサルは観光客も、人も、ほとんどいないように見える。カフェには朝からびっしりとおじさん達が集いがボードゲーム、また祈りの時刻になるとモスクにはおじさん達の祈る背中が集う、それくらい。トルコでは、あまり女性を見かけない。
すると、どこからか村のおじさんがやってきて声をかけられる。代々オルタヒサルで生まれ育ち、日本人のことをガイドしたこともあるそう。この村をガイドするよと言ってくださるので、ちょっとだけ話を聞いてみることに。
右の写真は、カッパドキアで最古の教会だそう。乾燥した土地で、かつての営みも、今は植物が根を張り朽ちてゆく様が残る、その状態もまた美しいなと思う。
今は暑くて、シーズンは4月ごろだという。オニキスを加工する工房を紹介してもらい、少し中を覗かせてもらう。外は真っ白な陽射しで暑いけれど、工房の中に足を踏み入れると途端にひんやりと冷たく、石を研磨する音が響く。ザック一つで旅をする身には、オニキスの誘惑に幾度も駆られたけれど、諦めた。でも私にはこんな風に黙々と、作業し生み出す人々の姿を捉えることができるということはどこかの観光地を巡るよりも、幸せ。ドライフルーツとナッツを売っている売店に行くと、おじさんがあれこれつまみ出す。笑 私にも、はいこれ、これも!と、いろいろ手に乗せてくれる。いや、美味しいけど、こんなに良いの? お店の人もそんな気にしていなそう。自分のお店も人のお店もお構いなしなラテンスタイルには、驚いたりするけど、なんだかおおらかで学ぶこともあったり?するかな。笑 トルコはピスタチオの生産地、日本では見かけないマルベリーやアボカドのドライフルーツがあったり、面白いのでいろいろ詰め、おやつに購入させてもらった。カンカンな太陽の日差しのもとでぎゅうと、栄養が詰め込まれた濃厚な甘さがした。
友達のところに見せたいものがあると、ホテルの中に吸い込まれてゆくおじさんを追いかけながら、その石の扉を潜ると中には、かなり古そうな壁絵が描かれたジョージア教会だった。写真で、あの質感が伝わらないのが悔しい。石の上に載せられた色の、柔らかさが堪らなく好きだ。きっと一人でオルタヒサルで過ごしていたら絶対に出会えない。
おじさんのツアーもこのまま長くなりそうだったので、おじさんにお礼を言いお別れをしてスーパーへ行った。初めてAyran(アイラン)を買ってみる。甘くない飲むヨーグルトという感じ。塩が入っていてしょっぱいのだけれど、沢山汗をかいた後だから美味しい。トルコではどこのスタンドでも見かける飲み物で、片手にアイラン、片手にシミットがトルコの道端でよく見かけるお馴染みの光景になってきた。
スーパーのことはまた別に。
汗を流し、テラスに座って遅めの昼食に。心地よい風の吹く中央アナトリアの初夏、いつまでもここにいたいと、思った。
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