ティングラヤンの分岐点からバイクに跨いで15分くらいでBuscalanのエントランスに到着。短いバイクの旅も、山を見下ろす景色に感動。(150pesos)
村までのことは、こちらに。
エントランスではコンタクトない旨伝えるとすぐに手配してくれた。現時点ではBuscalanへ行くためにはガイドさん(1000pesos/24h)・ホームステイ(400pesos/1night)・エントランス料(150pesos)は必須。
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エントランスからBuscalanの村は、谷の向かいを見上げたところにある。荷物は小型のロープウェー(150pesos)で送ってもらい、そこから最後はハイキング。今回お世話になったのは、ガイドのトゥマさん。とびきりの笑顔が素敵な優しい方で、Buscalanへの旅を何の不便もなく過ごせたのは彼女のおかげ。彼女はそのとびきりの笑顔で1日に3度もブスカランの山谷を登り降りすると言っていた…大変なこともたくさんあると思うけれど、その笑顔にたくさんの旅人が安心し、癒されているんだろうな。
そんなことを思いつつ、ハイキング。標高が高いから寒いのかと思ったけれど、既に雨季なこともあり肌につく湿度が体力を奪う。その日は曇り空で、強い陽射しがないの唯一の救い…
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谷を降ると川が流れていた。二つの橋を指差し、「元々は下の小さな橋しかなかった」と教えてくれるトゥマさん。今はさらに新しい橋に着工している最中で一年後(できるかぁ?)には完成予定らしい。道の途中にも小さな棚田、稲穂の色も青が濃い。脇には綺麗な水が流れていて、触ると雪解け水のような冷たさはないけれど、疲れた肌にかけると、爽やか。ちょうど雨雲がかかった山の方を指しこの水を田んぼにも、生活水にも利用していると言っていた。「お米はすべてオーガニックなんだよ」とも。なんて合理的なんだろう…そしてそのことを誇りに思っていることが伝わってきた。
お話を聞いたり、風の吹き抜けるところで少し休憩すること50分くらい。登りは急だけれど、霞む山々を見ながらのハイキングは最高!村の入口でentrance fee(150pesos)を払い、まずはホームステイさせていただくお宅へ連れて行っていただく。
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迷路みたいな村、真ん中は下水になるのか窪みがある。どこの家の造りもRC、後から調べると昔は伝統的なバンブー造りの住まいだったそうだけれど今はほとんどがRC造りの住まいだそう。道の中央は溝があり、一応下水?のようになっていた。ガイドのトゥマさんは前を歩きながら、何度も何度も後ろを振り返り”Be careful”と声をかけてくれる、しかも、私の重たいザックを背負いながら….そういったホスピタリティが普通なのか、この温度感、フィリピーナらしい…
着いたのは村の奥まったところ、棚田のすぐそばのお家。
家の前のプラスチック椅子に腰掛け達成感に満ち足りていると、トゥマさんがブスカランコーヒーを振る舞ってくれる。味はクラフトコーヒーにブラウンシュガーを足したような飲みやすいコーヒーで、トゥマさんの砂糖加減が絶妙。おかわりあるよ?って言ってくれるので結局3杯も!笑
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暑さも和らぎ、山の風に吹かれながらコーヒーをいただく。目の前には、棚田と、その先には霞がかった山並み。うまく言葉にできないけれど、山の中腹に張り付いた村は広大で奥行きのある世界が広がる。どこからか来る風に吹かれる稲穂や、もくもくと連なる積乱雲を眺める。
この上ない贅沢だった。
贅沢の意味が分からず、色々手に取ってみたこともあったけれどその喜びは、泡沫のように消えまた新たな欲望を生んでいた。それに対し、全ての人に開かれる自然の完璧な美しさに気づき、夢中になった。水の青、光の波紋が揺れることも、木々の下、私の身体に木漏れ日が揺れることも、山の上、日の出前の厳かな気持ちも。この地球に生まれ、自然を享受する贅沢。価値観は勿論人それぞれだけれど、私自身の贅沢だと気づけたことで世界はまた違う景色を見せるようになった。きっとこの村に橋がかかり、私のような観光客が発信するたびに村は瞬く間に変化してゆくんだろう。それが良いとか悪いとか、そんなものでは片付けられないけれど、私は今ここに来て、青緑の世界でこの風に吹かれて、幸せだった。
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一人の旅は不便なことも多いけれど、そういった問いと気付きに一つ一つ向き合うことのできる大切な時間だ。
○
前を通る3人のおばさん(お婆さんには見えなかった…)が声をかけてくれた。話を聴くと「御年、74歳、76歳、80歳!私たちガイドしてるのよ」と!ひゃ〜!!!恐れ多い…!「じゃあね」と快活に、すくすく歩く背中を見ているとなんとも気持ちいい。
食べ物なのか、気候なのか、この村で生きる人生への疑いのなさなのか….山の水が豊富で、夕方から夜にかけて雨がよく降っていたから稲穂もよく育ち、清潔も保たれるのかもしれない。凄いなぁ…..
お母さんが昼食を作ってくれていたのでいただくことに。豚肉とミックスベジタブルの炒め物、醤油?なのかな、甘辛くてご飯に合う。日本各地のおばあちゃんのお家でも食べれそうな馴染みのある味だった。スープはフィリピン料理のSinigang(シニガン)、タマリンドという豆科のフルーツ(干し芋のような食感に、杏子のような甘酸っぱさでそのままでも美味しい)で味付けした酸味のあるスープ。ここでもクノールのシニガンの元を使っていた。魚と茄子のシンプルなスープだけれど強い酸味は独特の美味しさで、長旅に沁みた…初めていただくオーガニックのブスカランライス!ジャポニカ米に似ているけれど、糖度と粘りが抑えられ、甘辛いフィリピン料理に合う。熱々の炊き立てで、有難いなぁ。
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しばらくすると、トゥマさんがタトゥーシンボルの一覧を持ってきてくれる。全て、村の生活に関連するマークだ。そのトライバルタトゥー(バトック)について、文化的背景や、個人的タトゥー観については長くなってしまうのでまた、別に。
昼食後にガラス戸のない吹き抜けのお家、二階は木造、無垢の床足に馴染んでほっとするも束の間、寝室の前の廊下に座り施術が開始。こんなカジュアルな感じなの?!って困惑。笑 私が「いたいた」と言う横で、隣のフィリピーナは「日本語のバットワードは何?」って聞いて大笑いしている。そんなことに反応する余裕ないわ!何なのこのカオスな状況!って笑 思い返すと笑えるけど、もう、怖くてできない笑
私のタトゥーを入れてくれたアーティストの方も、すごく素敵な方だった。
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棚田の畦道を散歩、気持ちいい。でも痛い涙
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お散歩をしていると、今日アポワンさんからThree dotsをもらえるかもしなれいと言うことで、ガイドのトゥマさんに呼ばれ行ってみることに。夕方、雨の降る村のタトゥー会場で順番待ちをしつつ、2時間近くそれぞれの姿を見守っていた。が、次第に暗くなる周囲、雨は強まり肌寒い。肌にドットを打ち続ける辛そうな表情に、こちらまで辛くなってきた。
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私の前で、今日の彼女の仕事は終わった。
背術は明日の朝に持ち越し。トゥマさん、私には傘を授けてくれるのに傘を刺さずにナチュラルシャワーだって言いながら歩く。薄暗い迷路みたいなブスカラン、彼女の背中を追いかけホームステイ先のお家に帰った。
大汗かいていたので念願のシャワー!と行っても樽から山の水を掬って。お家はトイレシャワー洗濯機が一緒になっていて、タイル張りが可愛くて清潔感もあった。湿度も高く、雨のよく降る地域、きっとお母さんがまめに掃除しているんだろうなと思った。雨で冷えた身体に山水は少し緊張したけれど、やっぱり水って、癒される。
夕食は一緒に宿泊していたマニラから来ているフィリピーナ5人組と一緒に。ご飯を作り、わざわざ待ってくれていた!豆と豚肉の煮込み料理、香辛料を使う文化がないみたいで醤油っぽい香り。夕食後にはブスカランコーヒーを作ってくれる。やかんに挽いた粉をそのまま入れてしばらく煮だしてから、ブラウンシュガーを入れたもの。彼の作ってくれたブスカランコーヒーはちょっと甘かったかな。笑
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明日は朝の6:00にお迎えに来てくれると、トゥマさんと約束したので早起きに備え(朝派なので8:00には眠い)、夕食後は直ぐに2階へ。雨音の打ち付ける寝室で、ひんやりとした湿度を感じながら私はいつ眠りに落ちたのかもう、記憶していない…
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この地でその道を生きること、107年。
色々なことなんて言葉じゃ言い表せないほどに色々なことがあったんだと思うけれど、この地に、この文化に尽くし生きるとの決意と熱量。その背中に、一体どんな人生だったのだろうと問いかけた。